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食パン。1.5斤。「高級」と名の付くものらしい。
目標としている成果に達したからと、職場のオーナーがプレゼントしてくれた。真白い紙袋に入ったパンをスタッフに渡しているオーナーは口元がほころんで本当に嬉しそうだった。配り終えると皆でパンを持って記念写真を撮った。スタッフたちが小声で「お祝いに食パン?」「普通お菓子とかじゃない?」というのが聞こえた。
こうして袋から出してテーブルに乗せてみると、丸々1斤のパンは完璧なかたちを成していて頼もしい。食べ物の域を超えた物体のようにも見える。一時期の高級食パンブームは、味もさることながらこのかたちを手に入れる満足感も理由のひとつかもしれない、なんてことをいつもちまちまと格安の6枚切りを買っているわたくしは考える。
さて、これからこの完全体にナイフを入れるぞ。